ビームライン概要
BL5S1は、硬X線領域のXAFS測定により、材料中の原子の化学状態や局所構造を解析し、付加価値の高いものづくりを支援することを目的としたビームラインである。現在、カルシウム(Ca)からルテニウム(Ru)までのK-吸収端、スズ(Sn)からビスマス(Bi)のL-吸収端を測定対象としている。透過法、蛍光法、転換電子収量法による測定が可能であり、in-situ XAFS実験をサポートするための実験ガス供給排気設備も備えている。さらに、大型の光学定盤を備えており、持ち込み装置を使用した自由度の高い実験や、大型試料の測定が可能である。
光エネルギー | 4~22 keV (0.31~0.056 nm) |
ビームサイズ
(高さ mm × 幅 mm)
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0.5 mm x 0.5 mm ※低エネルギー配置 4 ~ 9 keV 0.5 mm x 0.5 mm ※通常エネルギー配置 7 ~ 18 keV 1.0 mm x 5.0 mm ※高エネルギー配置 17 ~ 22 keV |
分解能(E/ΔE) | 7000 @12keV (※ Si (111) 計算値) |
光学系 | |
光子数 | |
測定可能元素 |
・低エネルギー配置 (Ca ~ Ni K端 , Sn ~ Tb L端)
・通常エネルギー配置 (Fe ~ Zr K端 , Eu ~ Bi L端)
・高エネルギー配置 (Y ~ Ru K端)
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典型的な測定例
現在の整備状況
XAFS 測定環境
- Step Scan XAFS
- Quick XAFS (透過法、転換電子収量法)
- マイクロ XAFS (キャピラリー集光: 20 μm) (コーディネータを通して事前相談推奨)
- マッピング XAFS (コーディネータを通して事前相談推奨)
検出器
- イオンチェンバ
- 7素子シリコンドリフト検出器 SDD
- 転換電子収量法用検出器 (蛍光法併用可能) ※サンプルサイズ 30 mm角以内 厚さ 5 mm以内推奨
参照試料
※参照試料はユーザー様にご自由にお使いいただけますが、作製から日数が経過している物もあるため試料の品質 (構造・化学状態など)の保証はいたしかねます。測定されたデータについては、自己責任でご利用いただきますようお願い申し上げます。
精密4軸ステージ
試料の精密な位置決めなどに利用できる精密4軸ステージが常設されています。
ステージはX線照射位置を確認しながら遠隔操作することが可能です。
可動軸 | ストローク | 分解能/pls |
X | ±12.5 mm | 0.5 μm |
Z | ±7 mm | 0.5 μm |
φ | ±140 deg | 0.004 deg |
ω | ±10 deg | 0.0015 deg |
汎用 XZ ステージ(9連試料交換器付き)
右のような49連サンプルホルダーを取り付けて利用可能です 。
可動軸 | ストローク | 分解能/pls |
X | ±50 mm | 4 μm |
Z | ±50 mm | 4 μm |
In situ XAFS フローセル
昇温限界温度(℃) | 昇温速度(℃/min) | |
金属セル※ | 650 | ~ 10 |
透過用石英セル | 900 | ~ 30 |
蛍光用石英セル | 800 | ~ 30 |
※断熱材ありの限界温度 400℃以上の高温域における使用は、石英セルの使用を強く推奨します。
ガス種 | 使用可能流量 (ml/min) | 使用可能濃度 (%) |
H2 | 4 ~ 100 | ~ 100 |
O2 | 4 ~ 200 | ~ 100 |
N2 | 10 ~ 500 | ~ 100 |
He | 10 ~ 500 | ~ 100 |
※低流量 (10 ml以下)での利用は安定性の問題からおすすめしておりません。
ガスin out配管 : 1/8 inch Swagelok
サンプルホルダーに関する情報 pdf
各ガス種における昇温試験結果 pdf
リークチェック用のポーダブルガス検知器 (理研計器 SP-220 TYPE SC、GL Sciences LD239)を常備しています
溶液セル
溶液試料の測定のためのPMMA (アクリル)セルを常備しています (品番 : アズワン BRA759116)
光路長 5 mm or 10 mm (画像は5mmのもの)
溶液層の厚みを変更できるセルもございます。使用の際には必ず事前相談をお願いいたします。
溶液試料の準備方法などの詳細は こちら
参考資料・マニュアル等
解析ソフト Athena, Artemisに関するマニュアル
Title | Updated | Files |
Athena のインストール方法及びデータの開き方 | 2023.2.15 | |
Athena の便利な使い方 | 2018.10.9 | |
AthenaのMain windowの使い方とXANES解析例の紹介 |
2023.6.13 | pdf / data |
AthenaとArtemisを用いたEXAFSの解析方法の紹介 | 2023.10.17 | pdf / data |
Athena のマニュアルの日本語訳(作成 / 近畿大学 朝倉 博行先生) | site | |
Athena,Artemis チュートリアル(作成 / 近畿大学 朝倉 博行先生) | site |
試料準備についてのマニュアル (ペレット作製等)
Title | Updated | File |
透過法用ペレット作製マニュアル | 2023.10.4 | |
マグネット乳鉢によるペレット用粉末の半自動混合 | 2019.4.19 | |
ダンシングミルによるペレット用粉末の自動混合 | 2019.4.19 | |
溶液サンプルの準備方法 | 2023.6.26 | |
49連サンプルチェンジャーへのサンプル取付方法 | 2021.10.28 |
ソフトウェア
Title | Updated | File | Notes |
透過XAFS用溶液サンプル計算 | 2020.5.13 | xlsm | 編集及びマクロを有効にすると使用できます。 |
蛍光XAFS時のROI再設定ソフト MCAROI | 2023.1.10 | zip | インストール方法などはマニュアルを参照してください。 |
リンク集
・名古屋大学シンクロトロン光研究センター 硬X線XAFSグループのページ
・SPring-8 硬X線XAFSビームライン BL01B1、BL14B2
・KEK-PF PF-XAFS
・九州シンクロトロン光センター BL11
ご不明な点、利用相談はコーディネーターまで
(更新2024.10.08)