放射光入門 「材料研究の現場で活用される放射光分析技術」

シンクロトロン光利用者研究会

放射光入門 「材料研究の現場で活用される放射光分析技術」

あいちシンクロトロン光センターに、日頃より多大な貢献をされている名古屋大学支援教員の先生方から、放射光を利用したいろいろな測定技術の紹介と、材料開発を中心とした研究に放射光がどのように活用可能であるかを講演頂くことで、シンクロトロン光とその応用について知って頂くことを目的とした研究会です。この研究会を通じて、あいちSRのご利用につながることを期待しています。

セミナー終了後に、講師の方々と産業利用コーディネータが具体的な利用に向けての個別利用相談を受け付けますので、お申し込みください(時間枠の都合で、別の日時での相談をお願いする場合もあります)。

 


 

日時  2019年4月23日(火)13:30~17:30
場所  愛知県産業労働センター「ウインクあいち」 15階  交流センター リンク
主催  名古屋大学シンクロトロン光研究センター,(公財)科学技術交流財団あいちSRセンター
協賛  光ビームプラットフォーム 大学連合(名古屋大学,名古屋工業大学,豊橋技術科学大学,豊田工業大学)

 

プログラム

13:00 受付開始

13:30 - 14:15

「放射光X線がもたらしたナノ空間物質の新展開」
名古屋大学 ERATO伊丹分子ナノカーボンプロジェクト 坂本裕俊

【講演内容】ナノメートルサイズの空間をもつ物質は、多様な化学種をバルクでは実現し得ない状態で閉じ込めることができる。このナノ空間効果による、分子貯蔵、触媒、伝導材料などへの応用が期待されている。本講演では、多孔性金属錯体(PCP/MOF)、カーボンナノチューブ、カーボンナノリングといったナノ空間物質が示す特異現象・機能発現(分子吸着に伴う構造変化・伝導性スイッチなど)のメカニズムを明らかにする上で、放射光X線回折・散乱・吸収が果たした役割を紹介する。

14:15 - 15:00

「放射光と超高圧力場が切り拓く新物質創製」
名古屋大学大学院工学研究科 丹羽 健

【講演内容】疑似的な窒素分子(一重結合窒素N-N)を構造内に有する多窒化物(一般式はMN2;Mは遷移金属や典型元素)は、超硬質性や多様な電子物性を示す今までにない新しい窒化物群として認識されている。我々は40万気圧における窒素と単元素との化学反応から、CoN2およびNiN2の合成に成功し、第一原理計算による電子構造計算を組み合わせることで、新しい磁性材料としての可能性を提案した。また14族元素(Si、Ge、Sn)の窒化物には、A3N4(A:14族元素)しか存在しなかったが、我々は超高圧下においてSiN2、GeN2、SnN2の合成に成功した。SiN2は、現在硬質材として広く利用されているSi3N4より高い体積弾性率を示し、非常に硬い物質であることがわかった。以上のように、超高圧下で直接元素を窒化する手法により、全く新しい窒化物を合成することに成功した。しかも、その多くが常圧下に回収可能であるということもわかった。これは、ダイアモンドのCVDによる合成のように、高圧合成を使わなくても新規窒化物が合成できる可能性を示唆しており、既存の物質群でも全く新しい機能性材料の創製が可能であることを示唆している。
15:00 - 15:15 休憩

15:15 - 16:00

「放射光を用いたX線分光分析で観るナノ材料の局所構造と化学状態」
名古屋大学大学院工学研究科 小川智史

【講演内容】X線分光分析は試料の状態を問わず、材料の構造情報と化学状態を同時に観ることができるため様々な応用が可能である。本講演では水素吸蔵材料への応用を指向した金属ナノ粒子の作製とその分析事例について発表する。気相中やプラズマ中で作製したPdナノ粒子やMgナノ粒子に対してX線光電子分光(XPS)測定とX線吸収分光(XAS, XAFS)測定を行った事例を中心に講演し、測定の実際や分析のノウハウを混じえながら放射光分析の紹介を行う。

16:00 - 16:20

「あいちSR分光測定ビームラインの紹介と現状」
名古屋大学シンクロトロン光研究センター 田渕雅夫

16:20 - 17:30

        個別相談会

 

お申し込み

受け付け終了しました。多数のお申し込みありがとうございました。

 
●個人情報の取り扱いについて
記載頂いた連絡先については、当センターが利用促進のために実施する各種事業のご案内の他、利用者のご意見・ご要望を伺うアンケート調査に使用する場合があります。
 

お問い合わせ

 (公財)科学技術交流財団 あいちシンクロトロン光センター
 TEL:0561-76-8330   メール   担当:砥綿