名古屋大学シンクロトロン光研究センター 加速器グループ(高嶋圭史、保坂将人、山本尚人、加藤政博)とAichiSRを代表して所長の竹田美和 が第20回超伝導科学技術賞を受賞しました。
2016年4月21日に開催された第42回超伝導科学技術シンポジウムにて授賞式が執り行われました。
受賞者および受賞理由
高嶋圭史殿、保坂将人殿、山本尚人殿、加藤政博殿、竹田美和殿
「超伝導偏向電磁石による硬X線放射小型光源の実現と運用」
近年、放射光施設を利用した研究が多目的に展開されるとともに実施数が増えており、特に産業界の参入が活発である。なかでも硬X線領域の放射光は需要が大きく、その発生装置の小型化、高性能化が期待されている。本受賞者らは世界初となる超伝導偏向磁石を用いた硬X線発生用の小型光源加速器を独自に設計し、硬X線用に5 Tの超伝導偏向磁石4台を備えた加速エネルギー1.2 GeVの放射光源を開発した。この設備は2013年度より“あいちシンクロトロン光センター”において供用されており、高性能、多用途、安定稼動の実績を重ね、利用件数も年々増え稼働率が97%に達している。利用の約7割が企業による材料やデバイス開発に関わるものであることが、他の放射光施設と異なる特徴である。
以上、本受賞者らによる、超伝導電磁石を利用した汎用性の高い小型加速器の開発とその長期運転実績、さらに産業への貢献は、超伝導技術普及の新しい方向の一つを示すものである。